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ペンダント A330S ゴールデンベル

レストラン サヴォイ ― 時を重ねて磨かれるエレガンス

Restaurant Savoy Restoration Helsinki master

当初から、その志はシンプルながらも挑戦的でした。初代経営者のG.W.ラスムッセンはこう語っています。「レストランとは何か?それは、美しく心地よい空間で、美味しい料理と飲み物を楽しみたい人のための、安らぎの場所です。」 

Restaurant Savoy Restoration Helsinki island
Savoy 7 F Ballroom 2 master

「レストラン サヴォイ」は、ほぼ1世紀の長きにわたり、この高い理想を体現する空間を維持してきました。それは、アルテック創業者のうちの3人の貢献があってこそといえます。 サヴォイは、ヘルシンキ中心部のエスプラナーディ通りに面したビルの最上階にレストランスペース、そのひとつ下の7階には宴会や会議のための心地よい個室を備えています。アールストローム社の本社ビルとして建てられたこのビルは、当時、「産業の象徴」とも言えるような堂々たる建物でした。 

受け継がれるアアルト夫妻の美学 

このレストランの構想を描いたのは、アールストローム家の一員であり、アルテックの創設者でもあったマイレ・グリクセンです。彼女は、フィンランドのモダンデザインの魅力を引き立てる空間で、上質な料理を提供するレストランを夢見ていました。建物自体の設計を手がけたユング&ユング建築事務所は、レストランの内装デザインにも意欲を示していましたが、マイレ・グリクセンと夫のハッリが心に決めていたのは、ただ1組のデザイナー夫妻、アイノとアルヴァ・アアルトでした。

Restaurant Savoy Restoration Helsinki view

アイノとアルヴァ・アアルトは、公的な空間も私的な空間も、そこを使う人々の個性を鑑みるべきと考えていました。「レストラン サヴォイ」もその例外ではありません。このレストランは、ビジネスマンや芸術家など、ヘルシンキの都会的な暮らしを楽しむ人たちに向けてデザインされました。活気がありながらも、温かく親しみやすい雰囲気が最上階全体に広がっています。時にとらわれることなく食事や会話を楽しむことができる豊かな空間で、ヘルシンキ大聖堂を望む街のスカイラインを眺めながら、夕暮れまで時間を過ごすことができます。この空間に命を吹き込んでいるのは、アアルト夫妻ならではの細部へのこだわりです。ひとつひとつの小さな工夫が積み重なり、全体として調和のとれた美しい空間を生み出しているのです。 

「音楽家が楽器に魂を吹き込むように…私は、サヴォイがアアルト夫妻の価値観そのものを体現していると感じます。」そう語るのは、イギリスのインテリアデザイナーであるイルゼ・クロフォードです。彼女が率いるデザインスタジオ「スタジオイルゼ」は、近年、「レストラン サヴォイ」の改修とリノベーションを監修しました。長い年月の中で、アアルト夫妻によるオリジナルのデザインは多少変更を加えられ、彼らが思い描いた理想から外れる部分も生じていました。「私たちは、現代に合わせた要素を取り入れながらも、アアルト夫妻の声に耳を傾けるように意識しました。彼らが大切にしていたディテールや、木の温もりに思いを馳せながら、サヴォイの空間を丁寧に再構築していったのです。」 

Restaurant Savoy Restoration Helsinki dining room interior

自然素材が紡ぐ、時代を超えるデザイン 

アイノ・アアルトが追求した、豊かで重層的なインテリアへのこだわりは、「レストラン サヴォイ」にふんだんに取り入れられた自然素材の数々に色濃く表れています。外壁にはマホガニーが使われ、エントランスホールへとつながる内壁にはオレゴンパインが用いられています。テーブル上には、「ペンダント A330S ゴールデンベル」が柔らかな光を落としています。その流れるようなフォルムは、家庭にも商業空間にも調和するデザインとして高く評価され、アルテックの中でも最も長く愛される製品のひとつになりました。サヴォイには、年月とともに、さまざまな照明器具が追加されてきましたが、スタジオイルゼは改修にあたり、それらをよりふさわしいものへと置き換えることを目指しました。例えば、一時は製造を終了していた「ペンダント A201」や「ウォールライト A330S ゴールデンベル」など、アアルト夫妻の美意識に添った照明器具を再び空間に取り入れました。 

アルテックと連携しながら家具の改修を進めていたイルゼ・クロフォードとそのチームの印象に残ったのは、アイノ・アアルトがダイニングテーブルのためにデザインした、エルム材のクラブアームチェアでした。「クラブチェアは、テーブルとの関係性を精密に計算したデザインであることに気づきました。高さや寸法、座面の沈み具合まで、すべてがテーブルと完璧に調和していたのです。アイノ・アアルトのその考え方をもとに、屋外スペースに取り入れる『チェア 611』をテーブルや空間に合わせて多少アレンジしました。」 

Restaurant Savoy Restoration Helsinki chair
Restaurant Savoy Restoration Helsinki banquette

ソファシートの背後にあるライムウォッシュ仕上げの白いレンガ壁は、木材を基調とした空間に鮮やかなコントラストをもたらすアクセントとして機能しています。改装の際に取り入れられた印象的な白黒ストライプのファブリックが、さらに空間にリズムを加えています。 

「アイノ・アアルトは白と黒の組み合わせが大好きでした。アアルト自邸や、彼らが手掛けたプロジェクトにその好みは現れています。今回の改装では、彼女のお気に入りのドレスのひとつにインスピレーションを得て、ストライプという形で白と黒の要素を再解釈しました。」 

機能美と親しみが調和する空間 

8階の広々としたレストランスペースに加え、「産業の象徴」でもあったサヴォイの7階には、ビジネスミーティングやプライベートな集まりのために設計された個室がいくつか用意されています。

Savoy 7 F Aino Double Room 3 master

上階に比べると、7階の空間は、より落ち着いた雰囲気ですが、細部へのこだわりは変わりません。年月を経る中で、上階のレストランと同様に、やや無機質なビジネス的な雰囲気が漂うようになっていましたが、スタジオイルゼはアルテックおよびArtek 2nd Cycleと連携しながら、空間を丁寧に見直していきました。 

イルゼ・クロフォードはこう語っています。「アアルト夫妻が手がけた、温かく居心地のよい空間に集うほど素敵なことがあるでしょうか?まるで誰かの家を訪ねたかのような感覚で、会議や冠婚葬祭の集まりができるのは、心からほっとする体験です。このような人間味のある空間は、心にも身体にもやさしく、持続可能性にも優れていて、より良い働き方までも示唆してくれるのです。」 

時の経過の中で変化を重ねてきた「レストラン サヴォイ」ですが、マイレ・グリクセンとアアルト夫妻が思い描いた理想と美学は、今もなお息づいています。自然素材の調和、心地よさ、そして格別の料理 ーすべてが、時を超えた魅力として受け継がれているのです。サヴォイが提供するのは、単なる食事ではありません。歴史と伝統とおもてなし、そこに温かさと心地よさが交差する、記憶に残る体験なのです。 

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