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ドムス チェア

「ドムス チェア」と暮らす - 熊谷 晃希

熊谷晃希がイルマリ・タピオヴァーラによって1946年にデザインされた「ドムスチェア」に初めて出会ったのは、2018年にフィンランドを訪れた際のことでした。当時、日本のとある設計事務所の数少ないスタッフの一人であった彼は、翌年オープンを目指す アルテックの旗艦店 Artek Tokyoの店舗設計に向け、フィンランドのデザイン文化を深く理解するために、フィンランドの地を踏みました。「最初に『ドムス チェア』を見たのはArtek Helsinkiの店舗でした。やわらかく丸みを帯びた佇まいが印象的で。自分の家にも置きたいと思えるような存在でした。」

そして、帰国後施工は進み、オープン前の最終段階に差し掛かりました。Artek Tokyoのレイアウトとスタイリングを考える際に、彼はバーチ材ブラックラッカー仕上げのフレームにグリーンレザーを張った「ドムス チェア」を選び、空間に取り入れました。

このプロジェクトの完成からほどなくして、彼は結婚しました。当時の上司からのお祝いとして贈られたのが、まさにずっと心を惹かれていた「ドムス チェア」でした。現在、その一脚は家族の住む家で使われ続けています。

暮らしの中で使い続けるうちに、椅子の細かい部分まで目がいくようになり、椅子に対する考察がだんだん深まってきました。

「もっとも心を惹かれるのは、後ろ脚の形です。ただ真っすぐなだけではなくて、肘掛けの下あたりでいったん細くなり、そのあとまた太くなってから、さらに下に向かってまた絞られるように細くなっていくんですよね。細くなったりふくらんだりする太さの変化が、『ドムス チェア』の柔らかさと上品さを強調しているように思えて。タピオヴァーラは、どのような意図でこの形にしたんだろうと、つい考えてしまいます。」

2018年頃、彼は、東京で暮らしながら、設計事務所でキャリアを築いていましたが、数年を経た今は独立し、妻と幼い娘、そして愛犬とともに、都心から少し離れた場所に暮らしています。都市の中心からやや離れた場所に見つけたこの新しい一軒家は、広い空間とともにゆったりとした時間をもたらしました。

「ダイニングの高い天井がとても気に入っていますし、ダイニング、キッチン、寝室がシームレスにつながっているところも魅力的でした。」

生活の変化に合わせて、「ドムス チェア」の使い方も変化していきました。もともとは仕事用として使っていましたが、子どもが生まれてからはダイニングへと移動しました。
「家族で食事をするときは、だいたい私が座っていますが、時には子どもが座ったり、立ったりすることもあります。しかし、家の中で一番気持ちの良い椅子なので、お客さまが来たときには、その方に座ってもらうようにしています」

心地よさと控えめな美しさを備えた「ドムス チェア」は、人生のさまざまな段階に寄り添い、その意味もまた時とともに深まっていきます。
「仕事だけでなくプライベートな時間もこの椅子と過ごすようになり、よりこの椅子との関係が深まってきたと感じます」と熊谷は語る。
「まるで人のようですね。人生を共にするパートナーのような存在です。」

 

「ドムス チェア」をひとことで表すと?
「『パートナー、相棒』です。」

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